前回のインタビュー記事は↑
引き続き、講師としてのミルノ純さんにインタビューをしております。
今回は、割と「考え方」の部分に焦点を置いています。
「こうなりたい!」目指す方向性の指導はどんな感じでしょう?
有名なアニメとかゲームとか、イベントで歌って踊ってバンバン前に出て!ちやほやされて!っていうのをだいたい目指してるのかなぁと感じてて。
でも正直そこってめちゃくちゃ狭き門じゃないでですか。
それこそ年齢のこともあるし、ルックスも、声質とか。
ある程度生まれ持ったもので決まってしまうところって現実問題あるじゃないですか。
そういう子にはどういった指導をされますかね?
服から何から全部。
ちょっと痩せなさいとか、女子だったらとりあえずズボン履くのやめようかって言ったり。
そういったところからアドバイスする。
まぁアイドルみたいにイベント出てちやほやされたいって子は結局は承認欲求があるからこそだからね。
うーん、でも……遠回しに別の魅力を気づかせることもあるなぁ。
ナレーションとかMCとか。
あなたはこういう分野で勝負できるんじゃないかな~?ってところを導いていくってことですか?
導いてったりとかもするけど……きつい言い方だなぁと思いながらも、ただ単純にちやほやされたいってだけであれば「地下アイドルやればいいじゃん」って言っちゃうこともある。
「(ちやほされるのは)すぐだよ、すぐ」って。
「地下アイドルが嫌なんだったら、なんで声優になってアイドルをしたいって思うのかっていうのを考えなさいね」って言う。
声優を続けながら講師をする想い。
その子が芝居を通して心をどんどん開いていって、顔も明るくなっていったの。
発表会でその子のお母さんが来た時に「先生、ほんとうにありがとうございます」って泣きながら言ってきてくれた時に、ああ芝居って言うのは人を助ける力があるんだって。
その時に、声優でい続けよう、そしてお芝居をちゃんと教えたいって思うようになった。
二年間引きこもってた子が私の授業で社会復帰できたこともあって……。
お芝居の力で人を助けることができたんだーって。
どうしてもお芝居って感覚重視になっちゃいがちなんですけども。
あ、もちろん感覚も大事なんですが……!
ミルノさんもよくおっしゃっていますが、まず本人が、どういう声優になりたいのか、なぜなりたいのか?を自己分析していくことから始まる。
自己分析の仕方っていうのもPDCA(※)を使ったりして、具体的に導いてくださるなぁって思ったんですよね。
ただ頑張ればいいんだよ!じゃなくて。
※PDCAとは……PDCAサイクルは、生産技術における品質管理などの継続的改善手法。Plan→ Do→ Check→ Actionの 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。PDCAサイクルは、主に日本で使われ、Aのみが名詞のActionといわれる(wikiより)
だから時間を決めないと。
それこそ、目標を立ててとか、この日までに~とか、この時期には~ってのを決めておかないと、人間ってそういう風に進まないので。
だから、「なりた~い」っていうボヤーとしたものだけで続けてると養成所ジプシーになっちゃったりとかね!
「今養成所4つ目なんですー」とかになっちゃうのを、私は避けたい!
そういう想いで講師をやってる!
ただ養成所に通ってる~ってことに満足してしまうことはよくないから。
先ほどもおっしゃってましたけど、長く活躍されていらっしゃる方って言うのは常に自分っていうものを確認しながらとか、臨機応変にどうしたら良いかって考えてらっしゃると思うんですが……。
そういうのもミルノさんのレッスンでも養える感じがします。
人間としても役者としても……うーん、なんと言えばいいんだろうな……ちゃんと、生きていけるようになる!笑
私は自分が、才能ではなくてある程度技術でカバーしてるっていう自負があるのね。
自分では才能って感覚ってわからないのよ。
これが才能だから売れてるんだなーってのがわからない。
私が12,3年、声優として生きていけてるっていうのも実はよくわかってない。
なんでだろう?って。
でもちゃんと分析していくと、「ああ私必要なことはちゃんとやってるなぁ」って気づくんだよね。
発声とか考え方とか。
で、爆発的に仕事量が増えたときに、私は何をしてたかって言うと「力を抜く作業」なのね。
もちろん行動はしてたよ。外画のワークショップ行ったりね。
なんというかそれらのことをロジック的に考えていくってのは、誰でもできることだと思う。
そうじゃないニュートラルなところや人も存在するってことですね。
そうそう。
そういうニュートラルな人たちは、社会人を経ていたりとか、ある程度常識を持ったって言ったら変だけど……よくも悪くも普通。よい意味で、社会に溶け込めてる人。
そういう人達もいるのです。
声優として食べていくという認識について。
これはね~……相性とか運とかがあるから、なんとも言えない。
人によって違うよね。
ナレーションで、月一本しか仕事ないけど、そのギャラが30万って案件もあるわけじゃない?
だったら食えて行けるじゃない。月一本だけど。
でも、外画の吹替やアニメだったり(※)ってそうじゃないでしょ?
吹替の歌付きのやつはまた別のギャラ入るんだけどさ。
じゃあ月何本あれば食っていけるのかー?とかも人によるじゃない?
※一回の収録で、アニメはだいたい15000円です。外画では8000円~15000円だったり。
人によってなのほんと。
それこそPCゲームだって単価下がってるけど、3本やれば食べていけますーみたいな子もいるし。(※)
食っていけるということで言えば、ほんとにわからない。
※PCゲームだと、1ワードで計算します。だいたい今は1ワード50円~80円くらいかなぁと思います。
80円だとかなりいい方!
ベテランさんとか売れっ子はもっと高い金額だったりするよ!
まぁ売れるイコール生活していくことを念頭には置いてると思うんですけども。
でもそういうところって意外に具体的じゃなかったりするじゃないですか。
声優として食べていきまーすってなった時に、内訳はそれこそナレーション一本でうん十万なんですかーとか美少女ゲーム単価いくらで何本毎月やるんですかーとか……。
そこの部分は、自分で決めてもそうはならんってことですよね。
それこそダブルワークでやるって人も多い。
だから、自分のもう一つの仕事もキチンとやるし、声優としての仕事もキチンとやるし。
それが出来る人もいる。
で、外画にはそういう人が多い。
「声優だけで食べていくことしか考えてません!!!それしか自分の人生意味ないっ!!!」っていう変なプレッシャーがないというか。
色んな選択肢があるんですね。
声優がほんとに大好きで、声優だけでしか食べていきたくないんですぅう!っていう人もいる。
でも声優だけじゃ食べていけないから他に自分ができることとか能力を生かして、精神の安定を図りながら、声優も真剣にやって……健やかな感じの人もいる。
私この間、職業支援の講演にも行ったんだけど、ほんとダブルワークってアリだと思っていて。
ダブルワークをすることで、それこそ精神を健やかにして安定させることができる。
一つの仕事だけだと、精神的に死んでしまう人がいるのも事実。
海外と比べるのはなんだかなーって感じだけど、それこそリバーダンスとか世界ツアー回ってる人たちは普段は税理士でーすってのがパンフレットに書いてあるわけよね。
そういう人たちがいるっていう現実を見たときに、ああ、そういうのもありだよなって思った。
自害をしようと。笑
でも実際そんなわけないというか、そうじゃなくていいんですよね。
で、そんな状態の人に仕事くるわけないから、もう悪循環だったんですよ。
私はいろんな働き方があっていいと思っているので、何かをやりながら声優を続けるっていう方法もあるよね。
もうそれらはほんとに、自分がどう思うかもあるよね。
価値観って育ちによる刷り込みもあるから……そうじゃなくてもいいんだって思えた時に楽になれるよね。
みんなアニメとかゲームとか華やかな感じでやりたいって思うでしょうけど、実はいくらでも自己発信できますよね。
私もそれはありだと思う。
新しい形だよね。
レッスン内容について改めて再確認!
どういう声優になりたいのか、どういうところで活躍していきたいのかってのをその子に明確にさせて、持ってる素質とかも見て「アイドルいけるっしょ!」って子だったらそういう方向性で後押ししていく。
その人に会って、その人の人間性を見てアドバイスするって感じかな。
ほんとに人によって違うんだよね。個人レッスンって。
自分がやりたいって思ってることと自分ができることって違う場合が多々あるじゃないですか。
もちろんそれがズレのない、合ってる人もいますけど……。
そういう人はラッキーな感じで。
だから、そのズレを減らしていくお手伝いだよね。
うん、身体は間違いなく変わっていくと思う。
というか自信がある。
ここ3年ほどやってきて。
だから最初に伝える「まっすぐ立つ」っていうのはどういうことかっていうのはヨガにも通ずるんだけど、まっすぐ立つことによって精神が健やかになる。
健全な精神は健全な肉体にある、って言うじゃない?
ほんとにそれなの。
まずはまっすぐ立たないと、ニュートラルな位置に行けないんだよね。
鼻から呼吸するってことも、きちんと体感させる。
鼻から吸ってみそ~、はいどっちの方がお腹に入る?って。
鼻から吸った方がちゃんとお腹に入って息の量も増えるんだっていう話。
人間は機能的に鼻からじゃないとお腹の下に入らないんだよってことを教えたりとか。
集団のフィジカルトレーニングはそういうことをやる。
そうね、うん、基本ヨガだなぁ。
ここがズレてるなーっていうのをまずわかるとこからちゃんと実感してもらう。
ヨガとゼロトレと、ピラティスとかアレクサンダーテクニークとか色んな要素が組み合わさっているので、その子に合ったことをする。
集団だと、まっすぐ立つ方法とか体のほぐし方とか、ストレッチの仕方を教える。
声あんまり出さないんだよね、私のフィジカルの授業って。
まず呼吸をちゃんとさせて空気の通り道をきちんと作ってから声を出すので時間かかる。
ここ3年でやってきてこれはもしかして私の特殊スキルかもしれないって思っているのは、耳がよいらしいので、人の声を聴いてどこが響いてるとかどこが硬いのとかがわかるのね。
なので、それまだ喉だよーとか、今お腹入ったねーとか。
口の中が開いてないとか舌根の部分が上がってるとか舌の位置が変とか。
私が紹介でしか個人レッスンしてないってのはそういうところもある。
すごく細かいことを言うのね。
みぞおちにしか響いてないとか喉締めちゃってるとか肩の筋肉が硬いとかそんなことばっかり言うのよ。
自分の感覚が最低限わかってないとわけわかんない授業になるの。
だから完全未経験の初心者はちょっと難しいかも、言ってることが。
でも、今後は考え方の授業というか、解剖学を用いて、知識をいれてもらってからやるってのも考えてるかなぁ。
それなら初心者でもいいのかなーとは思ってる。
ミルノさんの個人レッスンを受けるには……?
いかがでしたか?
色々紆余曲折した私には、ミルノさんのレッスンはほんとに声優志望者さんや現役声優さんにも受けてほしい!!!という想いがあります。
一度、レッスンを受けてみたい!と思われた方は、
上記サイトのContactから、お問い合わせをお願いいたします。
都内のスタジオを借りてレッスンをするそうです。
場所や金額などはミルノさんに直接お伺いいただくことになります。
また……、こういったお問い合わせの仕方も個人的には重要だなーと思ってて。
現状、養成所生なのか事務所所属なのか、何を見て連絡したか、とかどういう悩み(発声がどうしたらいいかわからないなど)を持っているか、など……なるべく詳細を書いて失礼のないようにするのがよろしいかと思いますぞ……!
ミルノさん、インタビューさせていただき本当にありがとうございました!!